|パンの仕事をめざした理由|
手に職の、幸せな仕事に憧れて。
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高校を卒業して某大学の文学部に入学したんですが、とくに目的があった訳でもなく、正直すぐに飽きちゃったんです。このまま勉強しても自分の将来が見えないし「これからどうしようかな」と考える日々が半年くらい続きました。そのとき思い浮かんだのがパン屋さんの仕事。私は小さいころからパンが好きで、近所のお店によく通っていました。焼きたてのパンの香りとか、ふわふわのドーナツとか、幸せな雰囲気がお気に入りだったんです。そのことを思い出し、「自分がつくった焼きたてパンの香りに囲まれる仕事って、幸せだな」って思ったんです。手に職をつけられる技術系の仕事ですし、長く続けることも、もしかしたら独立だって考えられる。だから、憧れだったパン職人にチャレンジすることにしたんです。
|学校選びのポイント|
授業見学で感じた“距離感”が決め手に。
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大学を辞め、入学までの2年間は学費を貯めるためフリーターをしていました。学校は東京の専門学校にしようと考え、いくつか調べていました。そのなかのひとつが東京製菓学校。夜間部があると聞いて「これはいい!」と思いました。昼間仕事をしながら通えるのは、資金づくりに都合が良かったんで。
学校説明会に参加してすぐに「ここでやっていくんだ!」って思えました。授業見学をさせてもらったんですが、先生と学生との距離感の近い感じとか、熱気とか空気感とか、とにかく良かった。「自分が頑張って貯めた学費のぶんだけ、しっかり学べるな」って感じとることができました。実際入学してみても、印象は同じでしたね。また『週3日』というのもポイント。毎日じゃないから、自分の暮らしとのバランスが取りやすい。いろいろな時間の使い方ができると思います。
|学校での財産|
つくったノートは、私の辞書のようなもの。
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まず言いたいのは、夜間部は「年齢層が広い」っていうこと。中卒で入って来た16歳くらいの子や、定年間際の人もいたし、すでにパン屋さんで働いている人もいました。あとは看護師や英会話の先生とか。本当にいろいろな人と一緒に勉強できたから、人間的にもすごく刺激的でした。みんな限られた時間のなかで通っているから、とにかく積極的。授業に本気で「やれる分だけやりたい」って思っていて、そのどん欲なところが夜間部のいいところでもあると思います。
そして、いちばん衝撃的だったのは『教科書がない』っていうこと。授業なのに教科書がないって、小中高では絶対体験しないですよね。板書のレシピを手書きしたり、実習中にメモをとった自分のノートが、そのまま財産になるんです。本当にいまも手放せないですし、よく読み返します。現場で感じた「何でだろう?」を、ノートが解決してくれることが多いんです。私にとっては、辞典や辞書のようなもの。だから、部屋のいちばんいいところに置いてあります(笑)。
|卒業後も続く学校との関係|
いまでも、半分学生気分です(笑)。
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学校はいまでも「自分が学生に戻れるところ」です。もう卒業して何年も経つんですけど、学校に行くとまだ半分学生みたいな気分になります。学生祭とかイベントに顔を出したりもしますが、基本的にはちょくちょく、ホント用もなく行ったりしますね(笑)。やっぱり自分にとって特別な場所なんでしょうね。なぜかって言われるとよく分からないんですけど、行きたくなるし、また学校の方々もウェルカムで受け入れてくださるし。授業風景を見たりとか、先生のところに顔を出して、仕事の相談をしたりとか。先生と話していると「お前、何にも変わらないね」って言われます(笑)。
|就活について|
思いのほかスムーズに決まって、驚き。
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就活は就職課のスタッフの方にいろいろ相談して進めていきましたが、夜間部はパン好きが多くていろいろなお店に詳しい人が多いので、クラスメートからの情報も頼りにしました。友だちの一人が「ここ、あなたに合うお店だと思うよ。一度行ってみたらどう?」って言ってくれたのが、ピーターパンでした。就職課の方に調整してもらって会社見学に行ってみたら「こんなパン屋さん初めてだ」って思いました。それまでは個人店をメインに就活してたんですが、規模も大きさも違うし、何よりスタッフの活気がすごかったんです。素直に感動してしまいました。それで就職希望を出して、適性検査+面接で、すぐに内定をいただきました。大学時代の友だちとかは面接だけで5次面接まであるとかが普通だって言ってたのに、こんなにスムーズに決まるんだ、って驚きました。やっぱり東京製菓学校のブランド力というか、学校の力もあるだろうな、と思います。
|いまのしごと-1|
同じ学校の先輩も活躍しています。
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ピーターパンには卒業生が多くて、しかも優秀。店長や製造のトップの方や、現場の2番目の人も先輩なんです。大卒入社の人もいるのですが、重要なポストに卒業生の先輩がいるっていうのはすごいな、と思います。仕事は実力主義なので、頑張った分だけ上に上がれる。1〜2年目は販売もやりますが、3年目からはずっと製造の現場で頑張ってきました。リーダー、チーフ、店長と上がっていけるのですが、いまは努力が認められチーフという立場になり、部下の教育も担当しています。
売場に立って販売スタッフの教育もしたりと、マネジメントの仕事が増えてきました。だんだんパンをつくることが少なくなってきたのはちょっと寂しいんですけどね(苦笑)。
いまは新しいお店での仕事で充実した日々を送っています。新店舗の立ち上げに参加したい、というのはずっと希望してきたことで、上司に言い続けてセルフプレゼンもしたりして(笑)、ようやく今回叶ったんです。ほかのスタッフもみんな望んでここにやって来た人ばかりなんで、「自分がいい店にしてみせる」っていう熱を持っていて、活気があります。
1日に1,000人を超えるお客さまが来店されるので、スタッフは20~30人はいます。近隣の5店舗から集まったスタッフをとりまとめているので、良くも悪くも「当たり前が当たり前じゃない」状態です。製造の現場ではちょっとしたつくり方の違いや段取りの違いを話し合って共有化していったり、販売では慣れないパートさんたちが働きやすい環境にするために、いろいろ試行錯誤しています。来てくださるお客さまに、いかに笑顔で接するかとか、商売の基本についても目を配っています。おかげさまで当初の予定よりも来客も売上も多くて嬉しい限りですが、これを継続できるように、一度来たお客さまが「また来たいな」と思ってくださるよう頑張っているところです。
|これからの目標|
お客さまとの幸せな時間を共有したい。
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人と話す、会う、接するのが好きだから、このお店が好きなんだなと思います。自分の元気の源は、売場。接客って、素晴らしい仕事だと思います。
いまでも忘れませんが、1年目のときに怒られて落ち込んで仕事をしていたことがあったんです。そうしたら、いつも声をかけてくださるお客さまが「私の子どももお菓子の仕事をしてるのよ。あなたも頑張りなさいね」って励ましてくれたんです。何気ないひと言でしたが、救われました。自分が笑顔を与えなきゃと思っていたのに、逆に笑顔をもらいました。そのときに「ここに来てくださる人のためにおいしいパンをつくろう、届けよう」ってあらためて思えました。だから、そうした幸せな瞬間をたくさんお届けできるように、もっと喜んでいただけるように、頑張って仕事をしていきたいと思っています。私はこの仕事、この会社が大好きなので、大きくしたい、共に成長したいという思いが強いです。社長は「100店舗、100年続く会社をめざす」って言ってるんで、それに乗っかっていきたいと思います。
ピーターパン 奏の杜店
津田沼の再開発地区に2013年秋にオープンした、石窯パンでおなじみ『ピーターパン』の新店舗。常時たくさんのお客さまでいっぱいの人気店です。オープンテラスもあるので、その場で焼きたてのパンを食べることもできます。
~佐藤さんのオススメ~
明太フランス:ピーターパンの名物の人気パン。
サンドイッチ:奏の杜店は『ツーオーダー』と言って、パンの種類とドレッシング、中の具を選べるサンドイッチを提供。ピーターパンでは初めての試みだとか。
千葉県習志野市奏の杜2-4-11
JR津田沼駅から徒歩10分
京成本線谷津駅から徒歩8分