人気の谷根千で和カフェを経営する『和菓子 薫風』の佃さんが語る、和菓子づくりの魅力とは。

はたらきながら学べるスクール選びなら
就職・転職へのヒントはここにあります

04 佃 佐知子さん

東京製菓学校の夜間部を卒業後、「つくり置きをせず、その場でつくって出す」オーダー型の和菓子屋兼喫茶を経営している佃さん。少人数制のお菓子づくり教室の開催や、和菓子の新しい食べ方の提案など、さまざまな活動を精力的に行っている佃さんが、和菓子づくりを仕事にしたいと思い至った理由とはー。
|和菓子を学ぼうと考えた理由|

和菓子は、将来海外に出るための "ツール"。

将来は「アメリカに住む」っていうのがもともと持っていた目標で、仕事として何をしていくかを考えたとき、お蕎麦か和菓子かのどちらかにしようと考えていました。立体創作、展開や応用がしやすく、奥深さがある和菓子を"世界に出るためのツール"として選びました。
たとえば茶道の裏千家は世界中に支部があります。和食が世界文化遺産に登録され「和」が注目を集めている時代。「きっと和菓子のニーズは世界中にあるはず」と考えました。
|なぜいま、和菓子なのか。|

季節を形にする美しさ、奥深さも魅力。

もうひとつ、和菓子を勉強しようと思ったのには、日本ならではの四季を形にできるということ。上生菓子など、四季折々の造形を美しくつくり上げる和菓子の世界に魅力を感じました。

また和菓子は「何にでも合う幅の広さ・懐の深さ」があると思います。たとえば、病気を治す考え方も薬で症状を無くすことより、自身が持っている自然の治癒力を活かすことが主流となっています。免疫力を高めるために食材に気を遣い、食事を大切にするといった傾向も、素材を大切にする和菓子は合っていると思います。実際いろいろな食材を使った和菓子はお茶菓子としてだけでなく、日本酒、シェリー酒、ワインなどの様々な飲み物と組み合わせる事が出来ます。お店ではそのような取り組みを積極的に行っています。和菓子の世界でそうしたことに取り組んでいる人はいないので自分が最初にやるしか無いと思いお店を始めました。
|入学までの経緯|

キャリアがいまに活きている。

製薬会社で分析の仕事を8年勤務後、企業の中での評価でなく自分自身がどこまで出来るのか試してみたくて飲食の世界に転職しました。会社勤めをしながら夜学で調理師の資格を取り、転職後は早く技術と経験を手に入れるため、フレンチ、イタリアン、自然食レストラン、NYデリ、割烹料理店など、とにかく始発から終電まで働きました。「学べることをすべて吸収して、将来自分の店を持つことに活かしたい」という思いでがむしゃらに働いていたので今でも当時の上司にあたるシェフにはいろいろ相談させてもらったり声をかけていただいたりと支えてもらっています。
当時シェフから「お客さまから言われたことは断るな」と教えられ、いろいろな対応力が身につきました。素材の応用や味の構成など、応用できる素地ができたことが、いまに活きていると思います。
|東京製菓学校のいいところ|

いちばんは「時間を有効に使える」ということ。

私が東京製菓学校を選んだのは、実践重視のカリキュラムで専門的に和菓子という分野を徹底的に教えてくれる学校だと感じたからです。入学して感じたのは、「授業内容がとても濃い」ということです。時間を有効に使うなら夜間部は昼間の時間を他のことに使えるのでお薦めです。それと先生方の「熱さ」。和菓子に対する愛情、和菓子の世界の素晴らしさをもっと多くの人たちに知ってもらいたい、という思い。それが授業を通じてビンビン伝わってくるのも東京製菓学校を選んで良かったところです。
また、学生時代から心がけていたのは「授業でつくったものは自宅でもつくってみる」ということ。学校ではグループですが、ひとりでやると勝手が違ったり、手順や段取りの組み立てが変わります。やってみると自分のキャパシティも分かるし、状況の変化も把握できるのでオススメです。あと、「気づいたらメモを取ること」。私はメモ魔なので、気づいたことはすぐにメモをとるようにしています。数字だけでない状態の変化などの観察力が和菓子づくりにはとても大切だと実感しています。 東京製菓学校の良さは在学中もそうですが、卒業してからも先生方に和菓子づくりの相談ができるところです。そのサポート体制も魅力の一つと言えると思います。
|夢への一歩、独立・開店|

やりたいことを形にする喜び。

最初から「専門学校卒業と同時にお店を出す」ことを目標にしていたので、機材など資金面なども考えながら調整しました。当初は「ワンルームでどら焼きづくり」というレベルからのスタートでしたが、調理経験から「少量をどうつくるか」を考え、つくり方にしても設備や器材にしても知恵ひとつでいろいろな工夫が出来ることを学びました。

お店は千駄木にあるのですが、いわゆる『谷根千』*界隈は、和の文化が息づいている場所。和菓子関係の卸の取引先が多いことも地の利としてありかな、と考えました。でも開店当初は「この店は何やるんだ?」「どうせ流行りや趣味ではじめたんだろ」という偏見や、排煙などの設備でクレームが来たりして大変でした。でも、まじめに和菓子をつくるお店なんだと分かってもらえるようになってからは、ご近所のおじいちゃんおばあちゃんも来てくださるようになりました。
お客さんが描いてくれた佃さんの似顔絵。

谷根千は最近ブームの街でもあるので、お散歩に来る人たちなどでも賑わっています。最近ではお店で知り合ったお客様同士が「サロン」としてお店で待ち合わせをしたり、新作のお菓子を楽しんだり、情報交換をしたりと「和菓子薫風」という空間を楽しんでくださっています。
*谷根千:谷中/根津/千駄木のこと。最近注目の東京の下町スポット。
|さまざまな取り組み|

つくるもの、やることは徹底的に楽しむ。

洋菓子やパンだと「ケーキが好き」とか「マフィンが好き」とか「好きだから始める」という人が多いですが、和菓子は少ないと思っています。もっとかんたんな気持ちでも始められるのにもったいない。この敷居を下げられることに貢献できたらいいなとも考えています。

そこで、和菓子の美味しさや面白さに触れてもらえるような取り組みを積極的に行っています。和菓子とお茶、お酒やシュガークラフトとのマリアージュや、近隣の芸大の文化祭とのコラボレーションでアートの展示やワークショップを開催したりしています。また、わらび粉づくりは私のライフワーク。根を掘るところからスタートして、素材からこだわってわらび餅をつくったりもしています。見えない真実は語れない。だからやってみる。知りたいと思って追求する。説明能力は知らないと身につかない。つくったものに対して「自分が説明できること=モノの価値」だと思っています。その積み重ねでいまがあると思っています。むやみに大量販売をするようなつくり方、売り方はせず、いまの自分にあったやり方で、一歩一歩提供できることを増やしていこうと思っています。
|業界をめざす人へ|

コトバにしたぶん、縁もつながる。

私は「お店を出したい」とか「世界に打って出たい」とか、自分の掲げた目標を、人前で口にするようにしています。多少漠然としていても、誰かに話すことで考えを整理したり目標が明確になることが多いです。何より「やりたい」と宣言することで、周囲の方々がいろんなご縁をつないでくれることも少なくありません。
和菓子薫風
東京・千駄木駅近くの路地の一角に佇む、「つくり置きをせず、その場でつくって出す」オーダー型の和菓子屋兼喫茶。個性的なオーナー・佃さんを慕って、近隣のみならずいろいろなところから和菓子を楽しみにお客さんが訪れています。

~佃さんオススメの和菓子~
○どら焼き:もっちりふっくらの皮に北海道産大納言。季節の果実の砂糖煮を加えたオリジナル。
○焼きかりんとう:どら焼き同様、さまざまな果実のフレーバーを加えたオリジナル。

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