|この道に進むきっかけ|
女性が活躍できる「つくる仕事」に憧れて。
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私は大学卒業後、一般企業でOLを5年間やっていました。事務仕事だけでなく社内のシステム構築なども経験し「ゼロからつくる仕事の面白さ」を実感していて、決して嫌いな仕事ではありませんでしたが、テレビや雑誌で「女の人がひとりでやっているパン屋さん」とか「海外に進出して活躍している女性」といった情報を目にするようになり、海外に行って仕事ができたり、食文化に関われたり、そういう「つくる仕事」に徐々に憧れていったんです。
|学生時代のこと|
昼間の仕事も学校が紹介してくれました。
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そう決めてからは、本格的に勉強するための下準備として独学でパンづくりをしながら、昼間はパン屋さんで実践を積みながら勉強できる、夜間部のある学校を探していました。WEBで検索して上位にあったのが、東京製菓学校。すぐに学校説明会(PCサイトへ/モバイルサイトへ)に申し込んで、話を聞きに行きました。いろいろ相談して、細かなことにもていねいに応えてくれたこの学校に入学を決めました。
入学を機にOLは退職し、昼間の仕事先も学校に紹介してもらいました。仕事をしながら分からなかったことや疑問に思ったことは授業の中で先生に聞けるし、聞いてその場でつくるから「あ、なんか分かってきた」って、スキルがどんどん身についていく実感があったのをよく覚えています。製パンの勉強をはじめると「パンは生き物」ってよく言うんですけど、実際やってみるとホントそのとおり。パソコンに向かって何かをするような作業じゃないんで、リアルなところに面白さを感じましたね。
2年間の学校生活のなかで、将来のためにと有効に使ったのは春休み。自称『パン旅行』なんですが(笑)、フランスやドイツをまわって、おいしいパン屋さんを食べ歩きました。
|就職活動について|
先生方にとことん協力してもらいました。
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就職は「おいしいドイツパンをつくってる個人店」で「クロワッサンなどの折込生地を手づくりしている」という、かなりこだわった希望でした(笑)。大手には大手なりの魅力もあると思うのですが、私はとことん手づくりしたかった。先生にも「力をつけたいなら個人店だよ」と言われていましたし。でも、ここまでこだわってると、やっぱり決まるまでに時間がかかりましたね。じつは、前から「いいな」と思っているお店はあったんです。それがいま働いている明治堂。夏休みとか冬休みとか、バイトでもいいから一度仕事をしてみたいと思って相談していたんですが、人気があって入れなかったんです。
そんなとき、学生祭*のパン屋さんの展示で明治堂が出展していて。先生にお願いして、お店の方にご挨拶させていただきました。客としてこっそり買いに行ったこともありますって、アピールもしたんです。そうしたら、正式な求人が来たよ、と就職サポートのスタッフの方から連絡があり、晴れていちばんの希望のお店に就職することができたんです。
*学生祭:毎年秋に開催される、東京製菓学校のオープンイベント。毎年数千人の来場があります。
いまのお店は天然酵母のパン、ライ麦パンとかがすごくおいしいし、バラエティも豊富。比較できるほどいろいろな現場経験があるわけではありませんが、とても働きやすい職場です。パン屋さんって仕込みがあるから朝早くて、長時間の仕事になるのが普通だと思っていたんですが、「仕事はできるだけ定時で終わらせよう」というのがこのお店の考えで、きちんと定時にあがれます。朝早くても3時で終わりとかあるので、オフでプライベートな時間をつくることもできます。あと、何と言っても人間関係が良好なのがうれしいです。予想してた徒弟制度っぽいところは全然ありません。友だちに聞いても楽しく仕事している人が多いので、最近はそういう職場が増えているのかも知れません。
|いまに活きていること|
学校で学んだ基礎は、スゴい武器。
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例えば「生地を丸める」とか、基礎的な作業は学校の実習でみっちりやってきたので、職場に出て作業していても「やっぱりスタートラインが違うんだな」と思うことはよくあります。作業中に、同僚に「やっぱり違うね」と褒められることも少なくありません(笑)。基本がちゃんとできる。専門用語がわかる。この二つを専門学校でしっかり学べたから、お店でも自ら状況を判断して動くことができる。これって、すごい財産だなと思います。実習を通じて積み重ねていた経験は、想像以上にスゴい武器になってます。
それと、仕事をしてみてあらためて実感するのが、東京製菓学校の先生方のスキルの高さ。実際にやってみて「スゴい先生に教わってたんだな」と思い知らされます。まあ、直接そんなことを先生に言っても、照れ隠しではぐらかされちゃうでしょうけど(笑)。