パティシエやパン職人、和菓子職人をめざしている方、あるいはお菓子づくりやパンづくりの技術を磨きたい、スキルアップしたいと考えている方のファーストチョイスは「まずは専門学校で学ぶ」こと。お菓子教室やパン教室よりもずっと専門的に学べる製菓専門学校に入学して、つくる技術を身につけておけば、たとえ現場に出ても安心です。
では、「実際の仕事で役に立つ技術」を身につけるには、どんな製菓専門学校を選んだらよいのでしょうか?
いちばん大切なのは「実習の充実度」です。近年のスイーツブームも手伝って、製菓専門学校は全国にたくさんありますが、その多くで学ぶことができるのは、基礎中の基礎。実習比率の高さをうたっている学校も少なくありませんが、現実的に重視すべきポイントはズバリ「比率」でなく「時間」です。同じ基礎をやるのでも「どれだけ繰り返しつくるか」や「たくさんの品目をつくるか」が技術修得への最短ルート。実習によって経験を重ねた時間のぶんだけ「本当の意味での技術や知識が身につく」のです。
夜間部を設置し、実習にカリキュラムの時間を割いている製菓専門学校のなかでも、その内容は微妙に異なっています。製菓衛生師などの資格取得をメインにうたっているところは「試験に合格させる」ことを目的とした実習のため、現場の感覚とは少しかけ離れた部分もあります。「とりあえず1年通って資格だけは取っておこう」という考え方もありますが、それで就職や転職は安泰かというと、決してそうではありません。
また、2年制の学校で1年目は洋菓子、パン、和菓子をひと通り学んで、2年目からはいずれかのジャンルを選ぶ、という製菓専門学校もありますが、ジャンルを限定していないぶん、どうしても「基礎的なレシピだけを広く浅く」という部分が否めません。
もし「学んだことを将来の仕事にしよう」、あるいは「学んだスキルを活かして何かをしよう」と思うなら、あらかじめジャンルを決めて学べる学校のほうがメリットは大きくなります。なぜなら、実際に世の中にあるお店は、パティスリーやパン屋さん、和菓子屋さんなど「そのほとんどが専門店」だからです。
洋菓子・和菓子・パンといったそれぞれのジャンルを徹底的に実習できる学校なら、専門性が高いぶん、基礎的なレシピは配合や素材にバリエーションを加えながら繰り返しつくることができますし、応用となる高度なテクニックをじっくり学ぶことも可能。費やした時間のぶんだけ身についた経験値は、お店に就職した際に「対応力が高い」とか「仕事がていねいで確実」という評価につながりやすくなるのです。